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幼少期は一貫して親が側にいることが大事

ヴェーダーンタ勉強会九十九里

生徒

要約

・幼少期は一貫して親が側にいることが大事

赤ちゃんにとって完璧であるはずのお母さんや養育者は、誰しも完璧でいることは出来ないために、少しずつ赤ちゃんの信頼は裏切られ、その痛みを無意識に溜め込む。最近では2歳半や3歳で学校教育が始まり、お母さんが側にいることで得られる安心感が奪われてしまう。この安心感を得られないままに大人になると、自己尊厳の問題が起きる。特に幼少期、出来れば抽象思考と論理的思考ができるようになる8歳くらいまでは、お母さんやお父さんなどの養育者が一貫して子どもの側にいることが大事である。ただしこれは、お母さんが社会進出してはいけないという話ではない。

・絶対的な信頼探し

どのような形であっても無意識は避けられず、お母さんもお父さんも他の養育者も完璧ではないのだと子供が気づき、4歳半くらいから絶対の信頼がおけるものを探し始める。こうして誰もが救世主を求め、絶対のお母さんや絶対のお父さんを求める探求が起きる。よってイーシュヴァラはお父さんとしても、お母さんとしても見られるべきである。ヴェーダの文化では実際にアルダナーイーシュヴァラハと呼ばれる、半分が男性で半分が女性である神の姿があり、お母さんとお父さんの両方を神として祈る。ヒンディーの言葉には中性の言葉はなく、宇宙創造において、ブランマンは男性形で、マーヤーは女性形であり、それによって創造・維持・破壊が起きる。

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回答

文法上ブランマンは中性名詞になります。宇宙創造と言った時、ブランマンという言葉が使われている場合、男性型で表現されるパラメーシュヴァラ(シヴァ)であると理解します。そして、パラメーシュヴァラだけでは創造はできません。必ず妻のパールヴァティーと共にあります。男性だけでも女性だけでも創造はできません。その二つは離れた別のものではなく常に夫婦共にあって一つにこの宇宙が展開しているという理解が大切です。

どちらかだけでは宇宙は展開されず、いつでも男女共にあるのがこの世界、全体宇宙です。

人や物に依存していては、脆く崩れ去り失われていく安心と信頼ですが、イーシュヴァラに絶対の安心と信頼を置いて精神的な自立をしていくのですね。

そして、自分自身であるブランマンは創造に関与しないため、そのどちらにも属さないことも理解していきましょう。

Bhagvad-Gītā14章4節

सर्वयोनिषु कौन्तेय मूर्तय: सम्भवन्ति या: |
तासां ब्रह्म महद्योनिरहं बीजप्रद: पिता || १४-४ ||

sarvayōniṣu kauntēya mūrtayaḥ sambhavanti yāḥ |
tāsāṁ brahma mahadyōnirahaṁ bījapradaḥ pitā || Gītā 14-4 || 

カウンテーヤ! 偉大なるマーヤーは、子宮の中から生まれる万物の物質的な原因となるものです。そして私は種を与える者であり、父です。

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生徒

この点について、ヒンディー語には中性の言葉はないと言われていましたが、サンスクリット語には中性名詞があり、ブランマンは中性名詞で合っておりますでしょうか?

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回答

ヒンディー語というのは公用語ですので、ヴェーダ文献を理解するためのサンスクリット語とは異なり、ここではあくまで一般的なインドの文化では、ありとあらゆる全てに男性性と女性性を、現れたものの全てに誰もがそれを見ているということです。

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生徒

パラメーシュヴァラとパールヴァティーが常に夫婦として共にあって一つであるから創造ができるということですが、創造する力(生み出す力の方が正しいのでしょうか?)はパールヴァティー側にあるという理解で合っておりますでしょうか。タットヴァボーダではブランマンから創造する力を与えられたマーヤー、という説明がありましたので、念の為確認させていただきました。

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回答

創造する人がパラメーシュヴァラです。そしてその力はパールヴァティーであり、マーヤー・シャクティと呼ばれます。知的原因が先になければ物質的原因も現れることはできません。つまり知識に頼って物事が現れ、その二つは離れた別のものではありません。ですので ”ブランマンから創造する力を与えられたマーヤー” は正しいです。

一言ではこの意味を正しく伝えることは難しく、ヴェーダーンタの真髄になりますので、バガヴァッドギーター全体を通して理解されるものになります。

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生徒

要約

・イーシュヴァラの完璧さを理解する

世界はイーシュヴァラの現れであり、その現れの中に様々な異なった現象を見ることができる。その数に限りはないが、ある程度グループに分けてみると、物理的な法則、生物学的な法則、生理学の法則、心理学的な法則などがある。

物理的な肉体がイーシュヴァラである物理的法則とは離れていないから、空間で音が届き、何らかのスピードがあり、光がある速度で伝わる。他にも、何千億もの惑星の中で、地球には水があり多くの生き物がいることの生物学的な法則、異なる種であるネズミとヒトに生き物としての共通機能を見ることが出来る生理学の法則、そして精神的、情緒的成長のために最も重要な心理学的な秩序法則などがある。これら法則は全てイーシュヴァラが現れたものである。

それぞれの分野において学びや研究を始めることは、窓を通して、あるいは針の穴を通して、イーシュヴァラをずばり捉えるようなものである。たとえその理解が少しだったとしても、全知であるイーシュヴァラを理解しようとすることである。

・物理的法則に現れたイーシュヴァラの姿は神聖なもの

物理的法則として現れたイーシュヴァラをヴィラートと呼ぶ。その一つであるアーカーシャ・空間があるからこの宇宙が崩壊せずにあり、空間はとても重要である。インドのチダムバラム寺院では、空間を祈りの対象として祀っており、チド・アンバラム、全知の神が空間として現れている。何も知らない人がここでのアーラティ(祈りの対象である神を明かすために火をかざすプージャーのクライマックス)を見たら、そこには何もないように見えるが、神が空間に想い起こされているのである。

<感想>

幼少期は一貫して親の目があること、褒めてくれること、抱きしめてくれることなどを通して、愛を当たり前に感じられるようになり、安心して外の世界に出て行けるようになる。

今の時代、ある程度の年齢になれば学校教育も大事ですが、子どもにとっては教育の機会が失われたなんて思わず、失われたのは唯一お母さんとの時間、という部分が印象に残りました。もちろんどの親も一貫して完璧にいられることは無いですが、私の周りにそうした人々がいたことにとても感謝の気持ちが湧きましたし、色々な人に助けてもらいながら愛情深く育ててくれた母にも父にも、改めて感謝致します。

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回答

子供にとってはずっと自分を見てくれている親の目があることが何よりも安心して自立していくことができ、それが将来的にイーシュヴァラに見守られている安心感であり、自分自身の目になるのですね。

だから子供は皆小さい時に、見ていないと怒り、見ていてくれれば夢中になって遊べるのです。

幼少期にそれが満たされないと、大人になっても構ってほしい、認めて欲しい、愛してほしい、見てほしい人のまま、安心ではない自分、愛されない自分、信頼できない自分に対して周りの人の目が気になり、目立たないようにしたり、目立とうとしたり、いろいろな形でアピールするのです。

子育ての中で目を合わせることや抱きしめることなど、愛情を持って触れ合うことは、教わらなくても人間が本能的に行える当たり前のことなのです。

それによって母乳が分泌され心身の成長が育まれ母体の回復に繋がり、母子間の絆形成と共に絶対安心安全な基地の存在と、母がその存在であると自覚することで母子共に精神的に強くなり、どちらも人格の成熟発達促進になり自立していくことができます。

動物は自然とそれができていますよね。自分を愛し尊ぶ自己尊厳が正しく持てていれば自然とできることですが、人間はそれができない、分からない人が増え続け、当たり前のことができなくなり精神に問題をきたす人が多くなっているために、科学で実証して説明しなければならない時代になっているということですね。

現代の日本では核家族化で母親一人で子育てする負担や、おばあちゃんや親戚などから育児を教わりながら不安を解消していく機会が減り、育児ノイローゼや産後うつが増加しています。また、女性の社会進出により育児を他者に任せ離れることが多くなり、忙しい母親の姿ばかりで常に見守られることがなくなっていることや、社会との関わりの希薄さなど、多くの社会問題が一人の人格の形成に影響を及ぼしています。

だからこそ、祈り深く生きて落ち着いた時間を作り、態度と心を養い、イーシュヴァラとは何かを正しく理解して、人々がその秩序に従って生きていくことが何よりも大切なのです。

このようなことは主に厚生労働省を始め、保健所や地域の保健センターや助産院などが子育て支援を担っていますので、できるだけ相談など活用してほしいですね。

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生徒

ヴェーダで教えられていることが心理学とも一致していることは流石ですし、誰もが赤ちゃんの頃や過去世の経験から心の傷があり、それを癒すことができるのは自分自身であることも、その通りですね。

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回答

精神的に成熟した人は、人の心と行動がつながっていて、その背景も法則があることを見抜いています。しかし、それを誰かに伝えると信じてもらえなかったり、人の悪口を言っていると捉える人もいて嫌われる原因にもなりますし、理解してもらえることも少ないですから、その洞察力による仮説を立てて研究し証明してきた積み重ねが、今日の精神医学と心理学に大きな貢献をしています。

著名な精神医学者でユダヤ人のフロイトは、ベルリンの哲学者ハルトマンが無意識の研究をしていたことに影響を受け、治療に役立て現在も精神医学と心理学に影響を与えています。一時的にフロイトの弟子になったスイス出身の精神科医ユングは、ヴェーダーンタをインドで学んだそうです。彼の思想には色濃くそれが表れています。

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生徒

いくつであろうが、自分の中の子供に気がついて向き合ってあげることが大事ですし、そうして誰もが傷ついたインナーチャイルドを抱えているのだと思うと、より穏やかに優しく接することができそうです。

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回答

そうですね。

子供の頃にたくさん見てもらって、褒めてもらって、認めてもらって、安心させてもらって、愛されて、反抗しても全てを受け入れてもらって・・・と、親が全てしてくれることは理想の極みですが、誰もそのような理想通りの親に育てられることはありません。ほんのちょっとの言葉や表情でも、幼い子供は敏感に感じ取り、自分が悪いのだと思い込んでお母さんを怒らせないようにしようと笑顔で元気付け、自分の悲しみも傷ついた気持ちも押し込めて抑圧していきます。その中で自分で気づけるように生きてこれたことは、やはりどのような状況であれ親や周りの人たちのおかげですし、何よりも自分自身の行いの結果として実っていること、イーシュヴァラが全てを運んでくれていることに感謝ですね。

気づけるようになるまでには、間違った考えと行動により暴力や暴言、人を利用価値の有無で巧みに支配する人、冷酷に傷つけられる人など、さらに自分で自分を陥れていく人たちもいますが、その人たちの幸せも祈ることが何よりも大切ですね。

生育過程の中で傷ついた経験から物事を歪んで見てしまうわけですし、それが今世だけではなく前世からの行いの結果として生まれ持った性質が実っている場合もあります。

最初からありのままを見ることができる人は少ないですから、どのような生まれや育ちであっても自分で自分を見てお世話していき自立できるようになるのが人間の成長です。

そのように世の中がきちんと正しく見えている人たちが、法整備や子育て支援、心理教育などで認知の歪みを修正していくことを、国を始め取り組んでいます。

いろいろな機会や社会資源を活用して行って欲しいです。

社会全体で子育てできるよう、多くの人たちが支援していますので、その祈りが皆さんに届きますように。

そして何よりも、ここにあるすべてがお父さんでありお母さんであることを知れば、いつでも安心は常に共にあるのです。

Spritual Heritage of India Series by Pujya Swami Dayananda

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