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心理学に関する間違った情報を鵜呑みにしない

心理学に関する間違った情報を鵜呑みにしない

保健室オンライン

心理学に関する間違った情報がSNSなどに溢れているので、国民の皆様には正しい知識を持って間違った情報に流されないよう気をつけて頂きたいと願っております。

心理学では幼少期の記憶を思い出させるようにしたり、大声を出させるようにアプローチするという、間違った認識を植え付けてしまうような情報発信をして自分のところは正しいと主張し誘導をする人たちがいたり、専門職ではないにも関わらず病名を乱用して無責任な情報発信やカウンセリングをする人たちが多いので、間違った心理学の認識を払拭して正しい知識を持って頂くために、臨床心理学について実証された根拠に基づく情報発信をしています。

過去の記憶を呼び起こして治療することは明らかな効果はないと言われています。もしそれをする心理支援者などがいるとしたら、それは本当の心理学に基づいた心理支援ではなくインチキ商法かもしれませんのでご注意下さい。

心理学の研究が始まった130年程前に、精神科医のJ.フロイトが精神分析の中で過去のトラウマになっている記憶を呼び起こして受け入れていく精神分析を行っていた時期がありますが、十分な効果は得られなかったという結果に終わっています。その名残で数十年前までは行われていたかもしれませんが、現在の心理学ではエビデンスは十分ではなく否定されています。

無意識に抑圧された幼少期の記憶によって嗜癖や行動に影響するという理論は現在でも心理学の一部として受け入れられています。

心理学というのは体系的な学問であり自然科学の一つです。臨床心理学においてはクライエントの症状に対して効果があるとされるものを仮説を立てて研究した上で、結果を分析して統計学的処理をして数値化し、効果が得られると実証されたものが精神療法・心理療法として確立していきます。

人の心の病を改善していくことは簡単ではなく、まだ発展途上の分野ではあります。

しかし、根本的には個人の中に自動的に起こる習慣的考えがあり、それを自動思考と呼びますが、その中に社会規範に反する考えや自己や他者への嫌悪や憎悪や攻撃性が浮かび行動にでてしまう、一連の思考から行動までの流れに気付いて自己分析していけるよう支援し、間違った捉え方を正しい捉え方に修正して論理的に思考を使っていくことや、社会の中で常識的に振る舞えない場合や、いじめやパワハラなどの原因になる言葉や態度を修正していくソーシャルスキルトレーニングなどを行う場合が多く、それによって精神疾患のいくつかは症状の改善や治癒に効果があり、多くの症例報告によってエビデンスが確立しています。

その過程で、緊張を緩めていく弛緩法や、疲労回復やストレス緩和のための自律訓練法、クライエントが主体的に表出していくのを受容し気づきを与え、ありのままの自分を受け入れ自己概念の不一致を一致させていく来談者中心療法や、自分の考えを受容していくアクセプタンス&コミットメント・セラピー、自分の思考を客観的に見て消えていくのを眺めるマインドフルネス療法、あるがままに考えに浮かぶことを眺め続け自己を受け入れていく森田療法などを取り入れながら、論理的思考を養っていき、様々なスキルトレーニングや心理教育を含め総称したものを認知行動療法と言い、精神療法・心理療法を行っています。

もし幼少期の記憶を呼び起こして心理療法を行っている人がいたら、それは学問としての心理学ではなく、治療でもありません。

また、法外な料金の設定をしていたり、自立を促すように支援せずに、いつまでも依存させる手法を使って長期的にコーチングなどを続けるビジネス商法もあります。

心理支援者が自分の感情に流されたり、主観的な捉え方をするような場合は精神的な依存関係に陥りやすく、症状の改善にはつながりません。

あまり高額なところに行くのは気をつけたほうが良いと言えるでしょう。逆に安すぎても新興宗教的な商法もありますので、できるだけ医療機関にかかるようにしましょう。

基本的に精神科専門医や公認心理師は、自己の考えや感覚器官を情報収集のための道具として使い、客観的な洞察力を持ち、その人にとって最善の支援になるよう多角的に分析しています。クライエント自身に対しても自分の考えを客観視し客体化して主観的な歪みを修正し、精神的な症状を軽減し、ストレス緩和や対人関係の構築や社会適応して調和していくために、自己のアイデンティティを確立し、将来的に真の自由と幸福に向けて人間的な成長を促していくよう支援することが臨床心理学の果たす役割です。

国家資格を持っていない人でも、良心的に心理支援をしてくれる人はたくさんいると思います。しかし見極めが非常に難しく、法的責任がないため問題が起こっても対処が難しいのも事実です。

国家資格を有する専門家は、法律で職責について制定されており、違反があった場合には厳しく罰則規定されています。

しかし、それでも間違った情報発信や心理療法を行う専門職もいますので、日頃から正しい情報リテラシーを高める習慣を身に付けていくよう、国民の皆様の心と体の健康に関する情報は、まず最初に厚生労働省のホームページでご確認をお願い致します。

厚生労働省 こころもメンテしよう

https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/

精神疾患はすぐに良くなるものではありませんが、人が本来持っている自然治癒力を高められるように、リラックスした状態で安心して治療に専念できるよう、心理支援者との信頼関係を築き、その人が持っている能力を伸ばしていき、できないことは無理なくその人のペースに合わせて様々な心理療法を検討し、社会資源を利用しながら国と地域で支援できるように体制を整えています。

時には厳しく感じる治療もあるかもしれませんが、あるがままの自分を受け入れ自立していけるように、その人の症状や、理解や認知の程度や、環境や社会的背景など、多くの情報をもとに多角的に捉え分析し、多職種や各種機関と連携を図り研究と自己研鑽を続けながら、クライエントに対してその都度適切な支援をしているのが臨床心理学という学問を通した心理支援です。

国民の皆様が間違った情報に振り回されることなく、適切なメンタルヘルスケアが受けられるよう、公認心理師法に基づき国民の皆様の心の健康の保持と増進を目的に、心理に関する正しい知識の普及と教育のための情報発信をしています。

公認心理師法

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